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#133 【特集】電子文書発行の見直し eシールとは?

デジタルメディア情報 2023.10.26

皆さんこんにちは!

JOETSUデジタルコミュニケーションズの関村です。

 

過ごしやすい日々が続き、お散歩していると金木犀の香りが風にのってくるようになりましたね。木々も色づいてきて、もう紅葉の時期か…と思っていると、あっという間に10月末。2023年もあと2ヶ月ほどですが、近い将来、日本政府が電子文書を発行する際、データの改ざんや送信元のなりすましを防止するための仕組み『eシール(electronic seal)』の本格的な導入を検討しているのはご存知でしょうか?

今回は、近いうちに影響がでる可能性が高い「eシール」についてご紹介いたします。

 

eシールとは

政府が提示している「eシール」は、電子文書の発行元の組織を示し、なりすましや改ざんを防ぐ電子認証サービスのことを指します。

個人名の電子署名とは異なり、使用する本人確認が不要で、領収書や請求書等の経理関係書類等も簡便にデータの発行元を保証することが可能になる仕組みになります。

eシールを導入することで、紙で行われていた書類等の企業間のやり取りもデジタル上で安全に行えるようになり、従来の郵送の手間やコストの削減による業務効率化や生産性向上が期待されています。

引用:総務省「組織が発行するデータの信頼性を確保する制度(eシール)の検討の方向性について」

 

eシールの背景

「今までの情報社会は、知識や情報が共有されず、連携が不十分である」という点が内閣府で問題視されていました。そのため、2016年1月に「第5期科学技術基本計画」が閣議決定し、新しい社会の在り方『Society 5.0』が提唱。

現在、日本政府はSociety 5.0に向けて、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)の一体化を進展させるため、社会全体のデジタル化を進めている段階です。その取り組みの一つとして、ネット利用者の本人確認やデータの改ざん防止等の仕組み“トラストサービス”が重要視されました。eシールは、このトラストサービスの中でも文書の発行元を確かめることができる仕組みのことを指します。

参照:内閣府「Society 5.0とは」

総務省「トラストサービスの概要」

 

 

ヨーロッパのeIDAS規則とトラストサービス

ヨーロッパでは、EU域内の文化・経済・政治の異なる国を跨いで健全な電子取引ができるよう、流通するデータを一定の信頼レベルに保つeIDAS規則というものが制定されました。

EU委員会がDigital Agenda for Europe2010で掲げた「超高速インターネット及び相互接続可能なアプリケーションを基盤とする『デジタル単一市場』の創設から、持続可能な経済的・社会的便益が得られるようにすること」を実現するために、2014年7月23日に規則として成立され、2016年7月1日から施行されています。

引用:SEIKO TRUST「ヨーロッパのeIDAS規則とトラストサービス」

 

上記の仕組みにより、

電子本人認証や電子署名、eシールによる文書の出所の信頼性等を確保することが可能になりました。

 

 

eシール 日本の状況

日本政府は、eシールの社会実装に向けて真正性を証明するため、民間の参加企業を募集し、2022年4月~9月まで実証実験を実施しました。

実証実験では、「eシール」を利用することによる有用性が確認。「eシール」を活用、社会普及させていくために必要となるユーザビリティへの考慮事項や、導入を促進するための仕組みについての課題や検討事項を抽出し、継続して実装実験を拡張して実施している状況です。

参照:富士通「富士通と帝国データバンク、「日本版eシール」の社会実装に向けた実証実験結果の報告書を公表」

 

2023年9月、総務省は国の認定制度を創設する方針を固めるべく、法律や情報セキュリティーの専門家、民間事業者などが参加する有識者会議を設置して議論を始めました。eシールの定義、認定の対象・期間、制度の運用体制などについて協議し、今年度末までに方向性のとりまとめをおこなう予定です。

参照:読売新聞 2023年9月19日記事「企業の角印の電子版「eシール」、認証制度を来年度中にも創設へ…電子文書の発行元を示す」

 

 

これからの展望

ヨーロッパは、eIDAS規則によって、トラストサービス市場の拡大や行政サービスのデジタル化の促進に繋がりました。今後、日本では、他国の実施状況と国内の実証実験のデータを参考に国内の認定制度を固めていくことが想定されます。

 

参考:慶応義塾大学SFC研究所「EUにおけるトラストサービス関連法規制‐eIDAS及びその改正案eIDAS2.0 -に関する解説」

 

むすびに

今回は、「eシール」についてご紹介いたしました。

政府のeシールの情報は今後も発信されてくると思いますので、常に情報をキャッチアップして更新していくことが大切です。

 

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関村(ニックネーム:セッキ―オレンジ)
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